納豆の発泡スチロール容器はリサイクル対象ではない

とあるスーパーにて

先日行ったスーパーの発泡スチロールトレイ回収箱に次のような注意書きがありました。

お願い。洗浄していないトレーや納豆やカップラーメンの容器、きのこのトレーたまごや豆腐、弁当等のプラスティック容器は再利用出来ませんので、当店従業員やトレー回収業者さんが選別してゴミとして捨てております。回収ルールをお守りください。回収できないものは、お持ち帰り下さい。ご協力よろしくお願いいたします。
とあるスーパーの発泡スチロールトレイ回収ボックスの注意書き

少し気になったのは、納豆の容器が回収できないとなっていることです。ほかのものは、色がついていたり、発泡スチロール以外のものと組み合わさった複合材料だったり、そもそも発泡スチロールではなかったりしますが、納豆の容器は白色の発泡スチロールなので、リサイクル対象でもよさそうに思います。

世の中のルールはどうなっているのか

回収拠点

私の家の近くだと発泡スチロールの回収拠点があるのはスーパーと自治体の施設ですが、どちらも「納豆の容器は回収対象外」である旨注意書きがあります。 スーパーの方は、「これこれは回収しない」という注意書きが増えた挙句、ある時から「肉、魚などの販売に使われた白または木目調の発泡スチロールトレイしか回収しない」ということになってしまいました。 自治体の回収拠点には、今度は「食品用トレイしか回収しない」旨の注意書きがあります。家電などの梱包材に使われている発泡スチロールもリサイクルできるならして欲しいですが、残念ながらそういうわけにはいかないようです。

納豆メーカー

タカノフーズのFAQ には、以前は洗ってリサイクルへと書いてあったような気がするのですが、現在は臭いや納豆菌を十分洗い落とすのが難しくリサイクルできない場合があると記述されています。

人々の認識

検索してみると、どう分別すればよいか分からなくてQ&Aサイトなどで聞いている人、 それに対して自分の住む自治体ではリサイクル対象でないと回答している人、 中にはリサイクル対象ではないと書いてあるけど洗ってあればいいと思って出しちゃっているなんて人もいます。

食品用発泡スチロールトレイをリサイクルしている会社に問い合わせてみた

はじめ発泡スチロール協会に問い合わせたのですが、食品用発泡スチロールを扱っている企業の団体ではないということでした。しかし、食品用発泡スチロールのリサイクル大手のエフピコさんなら何か答えられるのではと示唆いただきました。ありがとうございました。

そういうわけで、株式会社エフピコさんに問い合わせたところ、サステナビリティ推進室の方からお答えいただくことができました。ありがとうございました。

エフピコさんからの回答の要約

できるかできないかで言えば洗って十分納豆菌を落としてあればリサイクル自体は可能ですが、現実的には無理なので納豆容器は対象外にしているということです。

つまるところ、「洗ってあればOK」としてしまうと、どうしても「洗っていないもの」「洗い方が不十分なもの」が少なからず混入してくるという問題があって、リサイクルできなくなったり、臭いなどで作業者の不快が大きいため、納豆容器は全面的にリサイクルの対象外とせざるをえないということのようです。

「洗ってあればいいんでしょ」と入れてしまうと、リサイクルのどこかの段階で誰かが手で取り除くことになるので、発泡スチロールの納豆容器は食品用発泡スチロールのリサイクルには出さず、プラスチックごみとして捨てましょう。

エフピコさんの回答全文

お問い合わせありがとうございます。 株式会社エフピコ サステナビリティ推進室です。 ご回答が遅く成りもうし分けございませんでした。 納豆容器のリサイクルにつきましてご回答させて頂きます。

弊社が回収している発泡スチロール製の使用済み容器の回収BOXでは、納豆容器の回収はしておりません。 その理由は調べて頂いた通り、納豆のねばねば(納豆菌)は容易に落とすことが難しく、また、繁殖力が強いため、回収袋に混ざった場合、その回収袋の中のトレー全てが汚染されリサイクルできなくなるケースもあり、悪臭や腐敗の原因になるなど私どものリサイクル工場の職場環境の汚染にもつながるためです。

 また、納豆容器は蓋がついているため、洗われているかどうかを一目で確認する事が我々の手選別工程では難しいので、弊社では疑わしきものとして初めから除外させて頂いております。

 そして、「洗っていれば・・OK」とさせていただきますと、広く伝わっていく頃には「納豆容器回収OK」ということだけが世に流れてしましいまして、統制が取れなくなってしまったという経験もあり、初めから納豆容器は回収不可としております。

 弊社は、使用済み食品トレーをリサイクルして、再度食品トレーを作ることを目的として自主回収しておりますので回収する「資源」につきましても、それが可能な状態の使用済み食品トレーを回収対象としております。

今後とも食品トレーの回収にご協力のほど宜しく御願い申し上げます。 

謝辞

株式会社エフピコ サステナビリティ推進室さま、発泡スチロール協会さまに問い合わせへの対応についてお礼を申し上げます。 エフピコさんには回答を blog に載せることを快諾いただいたにもかかわらず、私の執筆が遅れて時間があいてしまったことをお詫び申し上げます。